02業務の選び方

提携で開業初日から業務を増やす

渡邉 徳人津田 拓也齋藤 史洋執筆現役の行政書士3人最終更新日読む時間約3分

事務所の売上は「単価×件数×扱うサービスの数」で決まります。開業したばかりで単価も件数もすぐには伸ばせないなら、扱えるサービスの数を早く増やすことが近道です。その力になるのが、他士業や同業者との提携です。

Key pointsこの記事の要点

  • 得意分野と地域の違う事務所と組むと、扱える範囲が大きく広がる
  • 他士業とのつながりは、まず顧客になる・こちらから紹介することから始まる
  • 経歴や強みが弱いうちは、提携と手引き・書式でサービスの数を早く増やす
  • 契約の形・紹介料の決まり・守秘義務・業際に気をつける

運営者3人の「外部チーム」

銀座の齋藤先生、神戸の津田先生たちとは、それぞれ独立した事務所で、普段はそれぞれの看板で仕事をしていますが、一つの組織のような感覚で仕事をしています。熊本のお客様からNPO法人の設立のご依頼があったとき、こちらが手いっぱいだったので、ご依頼の受付だけこちらで行い、書類は神戸で作ってもらい、提出だけこちらで行ったこともあります。神戸の事務所がホームページで集めた東京のお客様の仕事を、東京の齋藤先生にお願いすることもあります。

お互いの得意分野と地域が違うので、組むと扱える範囲が大きく広がります。書式も共有しているので、事務の効率も上がります。それぞれが自分の責任で研鑽している人ばかりなので、教える手間もいりません。

運営者 渡邉

事務所の中でスタッフを育てることと、事務所の外に信頼できるチームを持つこと。この二つをバランスよく進めると、商圏も仕事の幅も広がります。外部のチームなら、急ぎの相談にも柔軟に動けることがあります。

他士業との提携

他士業からの紹介は、毎月の安定したご依頼の源になります。運営者の事務所には、たとえば次のような紹介が持ち込まれてきました。

紹介してくれる士業持ち込まれやすい業務
司法書士定款の作成と認証、不動産の取引に関わる許可(農地転用など)、風俗営業の許可
税理士建設業許可、酒類販売業免許、定款の変更、会社設立、運送業の許可
社会保険労務士会社設立、許認可

とくに、顧問先を多く持つ税理士とのつながりは心強いものです。関係の始め方は、シンプルです。

  1. まず、こちらが顧客になる自分の事務所の税務を税理士に頼めば、自然とつながりが生まれます。経理や申告を自分で抱え込むより、時間もご依頼の機会も増えます。
  2. こちらから仕事を紹介する人は、助けてもらった相手にお返しをしたくなるものです。紹介すればするほど、紹介していただけるようになります。
  3. 紹介を受けたら、速く、ていねいに紹介者の顔をつぶさない対応が、次の紹介につながります。結果も必ず紹介者に報告します。

士業以外でも、事務機器の販売や保険の営業の方などから、会社設立や相続の相談を紹介していただくことがあります。腕のよい営業の方から商品を買うことが、つながりのきっかけにもなります。

扱えるサービスの数を、早く増やす

開業したばかりの行政書士が、早く売上を安定させる方法は、大きく二つです。

  • 自分の経歴や強みを生かした、付加価値の高いサービスを提供する
  • 扱えるサービスの数を、早く増やす

前者ができるなら、それがいちばんです。経歴や強みがまだ弱いうちは、提携先の力を借りてサービスの数を増やします。あわせて、業務ごとの手引きや書式をそろえておくと、はじめての業務でも流れをつかみやすくなります(運営者が作っている書式集もその一つです)。

提携で気をつけること

  • 契約はお客様と担当する事務所の間で:仕事をお願いするときは、お客様と実際に担当する事務所が直接契約する形にすると、責任の所在がはっきりします。
  • 紹介料の決まりを確かめる:紹介料のやり取りは、士業ごとの法令や会則・倫理の決まりで制限されていることがあります。始める前に、お互いの決まりを確かめます。
  • 守秘義務を守る:お客様の情報を提携先に渡すのは、お客様の了承を得てから、必要な範囲だけにします。
  • 業際を守る:提携は、他士業の業務を自分が行うためではなく、それぞれの専門家に正しくつなぐためのものです。

※制度や手数料などは変わることがあります。手続きの最新の内容は、各機関の公式の情報でご確認ください。