02業務の選び方

専門特化して、選ばれる行政書士に

渡邉 徳人津田 拓也齋藤 史洋執筆現役の行政書士3人最終更新日読む時間約3分

「広く浅く何でも受けるか、専門をしぼるか」。開業前によく議論になるテーマです。運営者の齋藤は、実務の経験ゼロで東京・銀座に開業し、専門をしぼって選ばれる事務所を作ってきました。その考え方を中心にまとめます。

Key pointsこの記事の要点

  • 手持ちの資源が少ない開業当初こそ、専門をしぼって集中する
  • 集客の仕組みを先に作り、実務は先輩や提携先の力も借りて、お客様に迷惑をかけずに身につける
  • 受注の仕組みは、作って、見つけてもらい、直して、育てていくもの
  • 専門特化したサイト同士では、対象・わかりやすさ・人柄・料金の示し方で差をつける
  • 自分だけの経験と業務を組み合わせると、ニッチな分野が生まれる

開業したばかりこそ、専門をしぼる

私は、どこかの事務所で修業することも、補助者として働くこともなく、27歳で東京・銀座に開業しました。開業のときから考えていたのは、「何かの分野に専門をしぼって、選ばれる行政書士になろう」ということです。

運営者 齋藤(東京・銀座)

専門をしぼるべき理由は、主に2つです。

  • 手持ちの資源には限りがある:時間・お金・経験・アイデアは、開業したばかりほど少ないものです。少ない資源をあちこちに分けると、どの分野でも勝てません。一つの分野に集めることで、ベテランや大きな事務所とも戦えます。
  • お客様は「専門家」を選ぶ:大切な手続きを頼む側は、何でも扱う事務所より、その分野にくわしい事務所を選びます。

実務が先か、集客が先か

開業のときの不安は、たいてい次の2つです。

  1. 実務の経験がない(依頼されても、できる自信がない)
  2. お客様がゼロ(依頼されなければ、経験も積めない)

この2つは、鶏と卵の関係です。経験がないから集客をためらい、集客の仕組みがないから経験が積めない。この繰り返しから抜け出せない新人の方は少なくありません。

私は「とにかく集客の仕組みを先に作ろう。実務の経験は後からついてくる」と考えました。ご依頼を受けたら、いただいた報酬を全部払ってでも、実務のできる先輩に教えてもらえばいい。そうすれば、お客様にご迷惑をかけずに業務をやり遂げられ、自分にも経験が残ります。

運営者 齋藤

大事なのは、お客様に不利益を与えないことです。実務の準備(手引き・実務書・書式)と、困ったときに相談できる先輩や提携先の確保は、集客と並行して進めておきましょう。

受注の仕組みは、育てるもの

ホームページを作ったら終わり、ではありません。作ってからが本番です。

  1. 分野をしぼったサイトを作る扱う業務と地域を決め、その分野を探している人に向けた内容にします。
  2. 広告や記事で、見つけてもらう広告を出し、記事を積み上げて、見込みのお客様に届けます。
  3. 反応を見て、直すどこからお問い合わせが来て、どこで離れているかを見て、文章や入口を直していきます。
  4. 一つ育ったら、次の分野へ一つの仕組みから利益が出るようになったら、それを元手に、別の分野の仕組みを作ります。

見た目の整ったホームページがあるのに依頼が来ない場合、原因はたいてい、分野の選び方、見つけてもらう工夫、反応を見て直す作業のどこかにあります。

サイトは、分野を細かく分けるほど、探している人に合った内容でお迎えできます。運営者の渡邉は、建設業の分野でも「建設業許可」と「経営事項審査」でサイトを分けました。それぞれの目的で探している人に、ぴったり合う内容を見せるためです。何でも並べた総合サイトよりも、少ないアクセスで確実にご依頼につながります。

専門特化したサイト同士で、どう差をつけるか

専門特化したサイトが増えた今は、専門特化したサイト同士の比べ合いになっています。行政書士の仕事は、仕上がる書類が同じことが多いので、見せ方の工夫が差になります。

  • 対象をしぼる:外国人の方専門、女性の起業専門、特定の業界専門など
  • わかりやすく書く:専門用語を使わず、手続きの流れと必要書類を、初めての人にもわかる言葉で
  • 人柄と対応を見せる:顔写真や事務所の写真、実際の対応の様子で、親切さ・丁寧さを伝える
  • 料金をはっきり示す:何が含まれていて、追加で何がかかるかを、シンプルに

必ずしも勝ち負けで考える必要はありません。同じ分野の専門家同士で、地域を分けて手を組むという考え方もあります。

自分の経験から、ニッチな分野を作る

専門の分野は、自分の経験から生まれることもあります。

私は21歳のころ、留学のエージェントとの間で嫌な思いをした経験があります。その経験と、今、留学の会社を経営している経験を、行政書士の仕事にも生かしてきました。英語ができるので外国の会社の手続きを、自分で会社を経営しているので会社設立を、自分で融資を受けて開業したので融資の相談を、という具合です。

運営者 渡邉

前の仕事の業界、暮らしたことのある国、家族や自分が経験した手続きなど、誰にでも、行政書士の仕事と結びつけられる経験があるはずです。あなただけの経験と業務を組み合わせることが、ほかの事務所との違いになります。

ネットでなければいけないのか

アナログの方法で、特定の業務を続けて受注できる仕組みが作れるなら、それでもかまいません。運営者の齋藤も、交流会、ポスティング、新聞の折込みチラシ、FAX でのダイレクトメールなど、ひととおり試しました。そのうえで、狙った業務を適正な報酬で受け続けるには、ネットの仕組みがいちばん効率がよいという結論になりました。

ネットのよいところは、その分野に関心のある人の方から、こちらを見つけてくれることです。アナログでは、見込みのお客様がどこにいるかを探し、こちらから近づく必要があります。

※制度や手数料などは変わることがあります。手続きの最新の内容は、各機関の公式の情報でご確認ください。

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