安売りをしない理由
会社設立・許認可・相続など、行政書士の業務の報酬は、多くの分野で下がり続けています。仕事がほしい時期ほど、値下げしたくなるものです。それでも運営者は、安売りをすすめません。いちばんの理由は、行政書士の多くが1人で事務所を営んでいるからです。
Key pointsこの記事の要点
- 行政書士の多くは1人事務所。安売りは、扱える量の限界にすぐぶつかる
- 安売りは「忙しいのに儲からない」「値下げを求めるお客様」「売る力が育たない」を招く
- 報酬が高くても、利益の率・ていねいさ・次の一手で負けない
- 戦略としての低価格と、仕事ほしさの安売りは別物。値上げで成長する発想を
1人事務所こそ、安売りしてはいけない
スタッフを何人も雇う事務所なら、件数を増やして安さを補う方法もあります。けれども、行政書士の事務所の多くは1人で営まれています。1人で扱える仕事の量には、限りがあります。
| 1件1万円の事務所 | 1件5万円の事務所 | |
|---|---|---|
| 同じ売上5万円に必要な件数 | 5件 | 1件 |
| 相談・聞き取り・書類・役所の対応 | 5件分 | 1件分 |
| 1件にかけられる時間 | 少ない(仕事が雑になりやすい) | 十分にとれる |
安い事務所は、件数とお客様の数では勝てるかもしれません。けれども、同じ売上を上げるのに何倍もの仕事をこなさなければならず、1人では、いずれ手が回らなくなります。
安売りが招く3つの苦しみ
- 忙しいのに儲からない件数は増えても、売上も利益も増えません。勉強や集客に使う時間もなくなります。
- 値下げを求めるお客様が集まる価格で選ぶお客様は、さらに安いところがあれば移っていきます。要求が多く、トラブルになりやすい傾向もあります。
- 売る力が身につかない相場の半額にすれば、誰でも売れます。価格以外の理由で選んでもらう工夫を考えなくなり、事務所の力が育ちません。
採算を無視して、相場の半分にすれば、誰でも簡単に売れます。けれども、それは自分の頭で「どうすれば選んでもらえるか」を考えることを放棄しているのと同じです。安く売っている間はそれなりに忙しくても、売る力は身につきません。業界全体の価値を下げることにもなりかねません。
運営者 津田報酬が高くても、負けない理由
- 利益の率では負けない:件数が少なくても、1件あたりの利益が大きければ、事務所は続けられます。
- 1件ごとに十分な時間をかけられる:ていねいな対応は、満足と紹介につながります。
- 次の手が打てる:利益を、広告・記事・勉強・人の採用に回せます。
無料や低価格のサービスを入口にして、次のご依頼につなげる戦略があるなら話は別です。考え抜いた戦略としての低価格と、仕事がほしいだけの安売りは、まったく違うものです。
値上げで成長するという発想
多くの事務所が価格で競う分野に、体力も経験もない新人が飛び込んでも、勝ち目はありません。逆に、専門性を高め、選ばれる理由を作り、少しずつ値上げしていくことで、件数を増やさずに事務所を成長させることができます。値上げをしても選ばれる事務所かどうかが、その事務所の実力です。
※制度や手数料などは変わることがあります。手続きの最新の内容は、各機関の公式の情報でご確認ください。


