01開業の準備

これからの行政書士(AI・電子化の時代に)

渡邉 徳人津田 拓也齋藤 史洋執筆現役の行政書士3人最終更新日読む時間約3分

「AIに仕事を奪われる資格」の上位に、行政書士の名前が挙がることがあります。電子申請も年々広がっています。それでも、行政書士の仕事がなくなるとは、運営者は考えていません。変わるのは、仕事の中身と選ばれ方です。

Key pointsこの記事の要点

  • 電子化とAIで、定型の手続きの価値は下がり、競争は地域をこえて広がる
  • 判断と責任がともなう仕事、毎年続く仕事、法改正の直後の仕事はなくなりにくい
  • 外国人・許可の業界の承継・高齢化・法改正の分野は伸びている
  • 集客・専門性・道具・提携・データの5つで備える

何が変わってきたか

変化行政書士の仕事への影響
電子申請の広がり建設業許可・経審の電子申請(JCIP)、在留申請のオンライン化、法人設立のワンストップ化など。役所に行く手間は減り、遠方のご依頼も受けやすくなった
生成AIの普及文章の下書きや調べものは速くなった。一方で、定型の書類はご本人でも作りやすくなった
情報の公開手引きや記載例がインターネットで手に入るので、「やり方を知っている」だけでは選ばれにくくなった
行政書士法の改正(令和8年1月施行)行政書士の使命と職責が法律に書かれ、デジタル社会への対応も職責の一つになった。特定行政書士の業務の範囲も広がった

電子化と情報の公開が進むと、手続きの報酬は下がり、地域をこえた競争も強くなります。ネットでの集客に強い事務所は、全国を相手に仕事を取りにくるでしょう。「地元では敵なし」だった事務所も、安心してはいられません。

なくなりにくい仕事

AIで置き換えられる仕事の割合で、行政書士が士業の中でいちばん高いという研究が話題になったことがあります。でも、悲観はしていません。ご本人が少し調べれば自分でできる定型の手続きまで、専門家が独占していること自体が、もともと不自然だったのかもしれません。そうした仕事が減るのなら、私たちはもっと価値のある仕事に時間を使えばいいのです。

運営者 渡邉

AIや電子申請が広がっても、次のような仕事は、行政書士に頼む理由が残りやすいと考えています。

  • 要件を満たすかどうかの判断が難しい手続き:経験や書類の集め方で結果が変わるもの(建設業許可の経験の証明、在留資格など)
  • 毎年続く手続き:決算の届出・更新・経審など、期限の管理まで任せたいもの
  • 関係者が多く、調整が必要な手続き:相続、法人の設立と許認可を組み合わせたものなど
  • 法改正の直後の手続き:新しい制度で、手引きや前例が少ないもの

共通するのは、判断と責任がともなう仕事だということです。書類を作る作業は道具に任せられても、「この方は要件を満たすのか」「どの順番で進めるのが安全か」を判断し、責任をもって申請する役割は残ります。

これから伸びる分野

行政書士の業界全体が大きく伸びることは考えにくいですが、分野ごとに見れば、伸びている市場があります。

  • 外国人の雇用と在留資格:人手不足を背景に、特定技能や育成就労など、制度も需要も広がっています。
  • 建設・運送・産業廃棄物など、許可の業界:担い手の高齢化で事業の承継や法人化が増え、許可の引き継ぎや変更の手続きが生まれます。
  • 高齢化にともなう手続き:相続・遺言・介護の事業の開業などです。
  • 大きな法改正があった分野:改正の直後は、ご本人だけでは対応しにくく、専門家の出番が増えます。

業界全体が縮むなかでも、続けている事務所が減れば、残った事務所に仕事は集まります。業界の平均の話と、自分の分野と地域の話は、分けて考えることが大切です。

事務所として備えておきたいこと

  1. 集客の力をつける選ばれる理由を伝え、見つけてもらう仕組みがなければ、どの時代でも仕事は来ません。
  2. 専門性を高める手引きに書いていない実務の判断や、業界の事情に詳しいことが、いちばんの差になります。
  3. 道具を使いこなす電子申請・クラウド・AI を使い、作業の時間を減らして、判断と説明に時間を使います。依頼人の情報を AI のサービスに入れるときは、守秘義務に反しないか必ず確かめます。
  4. 提携の輪をつくる他士業と組み、窓口として一つの場所で解決できる体制をつくります。行政書士は、一般の方にとって相談しやすい法律家です。その強みを活かせます。
  5. 自分の事務所のデータを集めるホームページのアクセスやお問い合わせの記録から、どんな人が何を求めて来るのかを知ることが、次の一手の材料になります。

※制度や手数料などは変わることがあります。手続きの最新の内容は、各機関の公式の情報でご確認ください。

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