01開業の準備

兼業・副業から始める行政書士

渡邉 徳人津田 拓也齋藤 史洋執筆現役の行政書士3人最終更新日読む時間約3分

「行政書士だけで食べていけるか不安なので、ほかの資格も取ろうか」「まずは勤めながら副業で始めたい」。開業前によくいただく相談です。兼業も副業も、うまくいくかどうかは資格の数ではなく、進め方で決まります。

Key pointsこの記事の要点

  • 他の資格との兼業は、ご依頼をつなげやすいのが強み
  • ただし「不安だから資格を増やす」より、まず行政書士の業務でご依頼を受ける仕組みを
  • 兼業は、提携で始めて、件数が増えてから資格を考えても遅くない
  • 勤めながらの副業は、平日の役所の対応と監督の体制の点で難しい
  • 副業から始めるなら、業務をしぼり、情報発信から準備し、独立の目安を決めておく

他の資格との兼業

行政書士と、社会保険労務士・司法書士・税理士などを兼ねると、扱えるサービスが増えます。一つのご依頼から、次のご依頼へつなげやすくなるのが、兼業のいちばんの強みです。

組み合わせつながりやすい流れの例
行政書士+社会保険労務士会社の設立や許認可 → 社会保険・労働保険の手続き → 労務の顧問
行政書士+司法書士定款や許認可 → 設立の登記 → その後の変更の登記
行政書士+税理士会社の設立や許認可 → 会計と税務の顧問

運営者の津田も、行政書士と社会保険労務士の二つの資格で事務所を営んでいます。許認可から労務の手続きまで一つの窓口で受けられることは、お客様にとっても大きな安心です。

「不安だから資格を増やす」はおすすめしない

一方で、「行政書士だけでは食べていけないかもしれないから、ほかの資格も取ろう」という理由での兼業は、あまりおすすめしません。

周りの士業の事務所を見ても、売上の差は資格の種類や数ではほとんど決まっていません。行政書士だけで安定して続けている事務所もあれば、難関の資格を持っていても仕事が少ない事務所もあります。差が出るのは、どんなサービスを、どんなお客様に、どうやって知ってもらうかという部分です。

試験の勉強には、長い時間がかかります。開業してすぐの時期に、その時間を集客と実務に使うか、勉強に使うかで、最初の数年の結果は大きく変わります。兼業を考えるなら、次の順番がおすすめです。

  1. まず行政書士の業務で、ご依頼を受ける仕組みを作る扱う業務をしぼり、ホームページや紹介でご依頼が入る形を作ります。
  2. お客様から「ついでに頼めないか」と言われる手続きを数える他士業の業務で、何度も頼まれるものがあれば、それが兼業の候補です。
  3. 提携で始めて、必要なら資格を取るまずは信頼できる他士業と提携し、件数が十分に多くなってから、自分で資格を取るかを考えます。

専門の知識を深めたい、講師や執筆の仕事を広げたいという目的なら、資格は大きな看板になります。何のために取るのかを、はっきりさせてから決めましょう。

勤めながらの副業は難しい

会社に勤めながら、行政書士の業務を副業で行うのは、正直なところ難しいと考えています。理由は次のとおりです。

  • 役所が平日の昼しか開いていない:窓口での相談、証明書の取得、申請の多くは平日の日中です。電子申請が増えたとはいえ、補正の連絡や窓口での確認はなくなりません。
  • 補助者にすべてを任せることはできない:補助者は、行政書士が監督できる体制のもとで仕事をします。行政書士本人が、いつでも指示と確認ができる状態でなければなりません。
  • ご依頼の多くは、本人が話を聞いて決まる:面談やお電話での説明は、行政書士本人が行うことがほとんどです。
  • 勤め先の就業規則:副業を禁止している会社では、そもそも始められません。公務員は原則として兼業できません。

依頼する側から見れば、本業か副業かは関係ありません。副業だからといって、手を抜くことは許されません。業務を最後まで責任をもって終えられる体制がないまま、ご依頼を受けることはできないと考えてください。

副業から始めるなら

それでも、いきなり退職するのは不安という方もいるでしょう。副業から始めるなら、次のような形が現実的です。

  • 扱う業務を、期日に余裕のあるものにしぼる:申請の期限がさしせまっている業務や、役所との打合せが多い業務は避けます。
  • 情報発信から始める:開業前から、扱いたい業務の記事やホームページを作っておきます。記事が育つまでには時間がかかるので、勤めている間に準備できることは多くあります。
  • 退職の時期を決めておく:「問い合わせが月○件になったら」「貯金が○万円になったら」など、独立に切り替える目安を先に決めておきます。

行政書士として登録すると、毎月の会費がかかり、事務所を設けることも必要です。登録の時期は、業務を始められる見通しが立ってからで遅くありません。

※制度や手数料などは変わることがあります。手続きの最新の内容は、各機関の公式の情報でご確認ください。

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