法改正をモノにできる専門家とそうではない専門家の違い:コラム第123回。

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コラム第123回:法改正をモノにできる専門家とそうではない専門家の違い

こんにちは。行政書士の齋藤史洋です。

平成25年度行政書士試験の合格発表がされました。

合格者の方は、開業に向けた情報を収集したり、HP等の広告媒体制作の準備を始めたりする時期だと思います。

前回は、新人開業者の参考になるように、新人がベテランを追い抜く方法【実践編】として、私のこれまでの取り組みをお伝えしました。

新人がベテランを追い抜く方法【実践編】

こういうお話をすると、

「自分の開業するタイミングで法改正が行われるとは限らないじゃないですか?」

そんなご質問も頂きます。もちろん、それはその通りですよね。

私も「法改正分野だけをやれば良い」と言っているわけではありません。

1.行政書士業務の「攻め」と「守り」

行政書士業務にも、積極的に利益が見込める「攻め」と最低限の利益を確保する「守り」があります。

法改正分野は「攻め」の業務です。

開業当初から攻めることができれば理想です。

しかし、現実的には、新人開業者の多くは、そもそも「攻め」に転じる以前の状況が多いと思います。

最低限の利益を確保する「守り」の業務ですら、まともに集客もできず、実務もできません。

委任状も契約書も交わさず業務に飛びついて、結局依頼者からタダ働きをさせられたり、報酬の未払いに困ったりするわけです。

予防法務の専門家を自称する行政書士としては、あるまじき失態と言わざるを得ません。

ただし、そういう悩みは以下の実務書式を使用すれば簡単にクリアーできます。

相談する人が身近にいない新人・研修会に参加できない新人でも実務に即応できます。

行政書士事務所運営書式フルセット
行政書士実務書式フルセット

僕が開業した昔と違って、今の時代はこういう便利なものがあるのだから新人開業者は積極的に活用して欲しいと思います。

ただし、こういう書式集でカバーできる分野は、あくまで新人開業者が最低限の利益を確保する「守り」の分野です。

確かに、新人開業者の多くにとっては「守り」の分野をしっかり固めることが最優先事項ですが、「守り」だけではジリ貧です。

新人開業者がどこで「攻め」るのか?

それが法改正分野だということです。

2.法改正に取り組めばみんな成功するのか?

ただし、「法改正に取り組めばみんな成功するのか?」と問われれば、残念ながらそれは違います。

単に、「これは法改正だからビジネスになる・お金が儲かる」というような動機・発想で取り組む新人開業者は残念ながら成功しないと思います。

なぜなら、その程度のことはどの行政書士でも考えるからです。

マイケルポーターの5フォースの概念を持ち出すまでもなく自明なことですが、行政書士の競合は行政書士だけではありません。

他士業や民間のコンサル会社など競合事業者は無数にいます。

優秀な書類作成ソフト、会計ソフトなども競合の一種と言えるでしょう。

安易な動機で「法改正ビジネス」に取り組んだものの、競争に負けて、苦労して準備した割には儲けも少ない、そんな状況になることも当然ありえます。

どの行政書士でも考えそうなことや、周りの行政書士と大差ない情熱で業務に取り組んでいては、他の競合から一つ頭を抜けて先駆者になることは難しいはずです。

他の競合との関係において比較優位に立つための重要なポイントとしては、経験・ノウハウ・資金力など様々な要素があります。

ですが、これらの要素で新人開業者が勝てる見込みは基本的にはありません。

経験やノウハウ、資金力を欠いているのが新人開業者の特徴だからです。

だからこそ、「業務に対する情熱」と「仕込みにかける時間・事前準備」で勝負するしかありません。

新人開業者は、どうにかして他の競合と「差別化」を図ろうとします。

様々な開業本等には、「差別化が重要」と書いてあるし、開業セミナーでもそう言われるからです。

しかし、「差別化」の要素は無理に作ろうとしても競争には負けます。

「差別化」の要素は無理に作るのではなく、自分がこれまでの人生で培ってきた経験・思想・興味・情熱、これらを活かすのです。

自分の人生と同じ人生を歩んでいる人はいないわけですから、自分のこれまでの人生で培った情熱を行政書士業務につぎ込めば、自ずと「差別化」になります。

経験とは、楽しいことだけではありません。

辛いこと・悲しいことがあったからこそ、興味を頂き、情熱を燃やせる行政書士業務もあると思います。

情熱があるからこそ、他の競合事業者が気がつかない点にも早期に気が付くことができるでしょう。

また、行政書士業務として確立していなかった分野において新しい業務を作りだせることもあるはずです。

それこそが、新人開業者が早期に経営を軌道にのせるための道です。

誤解の無いように補足しますと、先に開業された諸先輩方から学ぶことも当然重要ですし、先輩方からの学びを否定するつもりはありません。

しかし、「他人の後追い」・「二番煎じ」で大きな利益を上げることは難しいと思います。

3.私はなぜ公益法人業務に取り組めたのか?

「そもそも、どうして公益法人業務に目を付けたのですか?」

「そんなに法改正に都合よく気が付くものですか?」

新人の先生やベテランの先生を問わず、他士業の先生からも、このような質問をよく受けます。

私の個人的な経験をお話すると、大学時代に法学部図書館の閉架から民法の法人制度や公益信託に関する「カビ臭い論文」をわざわざ司書さんに引っ張り出してもらって興味深く読んでいた経験があります。

国家試験や大学の単位取得に立つとか、そういうことではなく、純粋に「これは面白いな」と思って法律学に情熱を燃やしていた大学時代があります。

ただし、民法の法人制度や公益信託なんて大学生が気合を入れて学ぶにはマニアックすぎるので、卒業に必要な科目には関係ないし、司法試験や公務員試験にも就職にも役に立ちません。

「大学院に進学して法律学の研究者になるわけでもないし、そんなの勉強して何の意味があるの?」

そんな冷やかしを友人から言われながら、法人制度や公益信託に関する論文を興味深く読んでいた大学時代があるからこそ、この新公益法人制度の法改正にもだれよりも早く敏感に反応できました。

当然のことですが、学生当時は、将来こんな法改正が起きるなんて全く考えていません。

大学卒業後から行政書士になる前も、公益法人改革の動向は個人的な興味からウォッチしていましたが、正直なところ、法改正が実際になされることはないだろうと思っていました。

基本法である民法の重要部分がそう簡単に廃止されるわけはないし、公益法人制度の改革には色々理由をつけて官僚が激しく抵抗すると思ったからです。

しかし、結果的には私の予想に反して新公益法人制度は法制化されました。

そしてそのとき、私は公益認定の代理人となれる国家資格者・行政書士になっていたのです。

私がこの業務に取り組んだのは運命というか、ある意味必然と言えます。

私は「他の事業者と差別化を図ろう」とか「新しいビジネスになるはずだ」というような発想がスタートで新公益法人制度に取り組んだわけではなく、昔からの興味・情熱があるから真剣に取り組めたわけです。

多くの事業者が「新しいビジネスになるはずだ」というような発想で新公益法人制度に取り組んだのだろうと思いますが、そういう事業者とは、私は根本的に違うのです。

これが、自分の人生で培ってきた興味や情熱を行政書士業務に活かすという、一つの実例です。

業務範囲が狭い他の士業なら難しいと思いますが、広大な業務範囲の広さを誇る行政書士だからこそ可能だと思います。

自分が培ってきた興味や情熱を活かして行政書士として活躍する生き方があることを、新人開業者さんには知って頂きたいと思います。

「自分の興味・情熱×法改正×行政書士業務の広大さ」

この3つを掛け合わせれば、新人開業者でも活路が開けるはずです。

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