新人がベテランを追い抜く方法【実践編】:コラム第121回。

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コラム第121回:新人がベテランを追い抜く方法【実践編】

こんにちは。行政書士の齋藤史洋です。

昨年の11月末日をもって、5年間に渡る「公益法人の移行」と呼ばれる業務に区切りがつきました。

新公益法人制度に基づく特例民法法人の移行認定申請、移行認可申請の業務のことです。

この業務は行政書士が真正面から代理人として活躍できる業務であったため、行政書士にとっては大きなビジネスチャンスでした。

このような法改正の機会をうまく活用し、実務家として成長できるかどうかが、新人開業者にとって重要なポイントになります。

どのような新人開業者であっても、何らかの分野で専門性を確立し、先発開業者を含めた他の競合と関係において比較優位に立つことができなければ、事業者として存続できませんし、社会貢献できません。

しかし、これこそが、新人開業者にとって極めて困難な課題であるのもまた事実です。

だからこそ、「新人開業者は積極的に法改正分野に取り組み、先発開業者を出し抜いて行政書士としての基盤を獲得しましょう!」というのが私の考えです。

私はかつて「新人がベテランを追い抜く方法」と題して、新人は法改正分野に取り組むのが一番お勧めだと話しをしました。

コラム第30回:新人がベテランを追い抜く方法。

先発開業者を出し抜いて、高単価で業務を獲得し、顧問契約まで獲得する行政書士になるのか。

あるいは、指をくわえてそれを眺めているだけの行政書士になるのか。

新人開業者であれば、どう考えても前者が良いですよね?

しかし、「法改正の機会を上手く活用」といっても、開業したばかりの新人さんには、まだ行政書士業務そのものがよく分からないため、なかなか取り組み方のイメージができない人も多いと思います。

そこで、新人開業者の参考になるように、「新人がベテランを追い抜く方法・実践編」として、過去5年間一貫して新公益法人業務に取り組んできた私の実例を、簡単にお話します。

1.早期の情報発信が良い循環を生みだす

私は新法施行前から公益法人向けに情報発信(DMや研修会の案内)をしていたため、新法施行前から既に業務のご依頼を頂くことができ、早期に様々な実務経験を積むことができました。

もちろん実務上は最初は手探りでしたが、そもそも法律が施行されてもいない状況でしたから、実務経験が豊富な専門家は存在しません。

「少なくても知識については私より詳しい専門家はいないだろう!」という自信を持てる位には知識は仕入れていたので、依頼者から全面的な信頼のもとで受任でき、業務を進めることができました。

実際、私にご依頼を頂いた公益法人様は極めて早期に移行が完了することができ、順位でいうと、全国の公益法人全体の中でも上位3%から5%位に入る早さで移行が完了しています。

移行が完了した法人は、公益法人インフォメーションという国のHPに掲載されます。

そのため、公益法人全体の残り95%に当たる移行未了の全国各地の公益法人が、「公益認定のノウハウを教えてほしい」と早期に移行が完了した私の顧問先公益法人の事務局に問い合わせるケースがたびたび発生しました。

そのたびに「銀座の行政書士さんに全部任せているから、紹介しますよ。全国対応らしいですよ。」と答えて頂くようにお願いしました。

また、公益法人の理事さんは、他の類似の公益法人でも理事をされていることが多かったです。

そのため、公益法人移行支援を早期に完了した法人の理事さんから、

「私は別な法人でも理事をやっているんですが、そっちは移行が全く進んでいないんです。」

「先生の実力はよく分かってますから、私が理事をやっている別な法人の移行もお願いできますか。」

そういう紹介のされ方も多くありました。

公益法人の移行が全国で3%位しか進んでない状況で、実際に公益法人の移行を完了させている行政書士ですから、「全国でも数少ない実績のある信頼できる先生です」という感じで、紹介する理事さんとしても、私を紹介しやすかったと思います。

私はWEBを活用した仕組み作りを得意としており、実践してきましたが、このようなアナログの紹介も重要です。

WEBを活用した集客の仕組み作り⇒新規顧客の獲得⇒アナログ紹介の発生

という王道パターンですね。

なお、WEB集客とアナログ集客のどちらがいいのかという相談を良く受けますが、どっちも必要です。

単に、順番の問題です。WEB⇒アナログなのか、アナログ⇒WEBなのか。

新人開業者に対しては、基本的にはWEB⇒アナログの流れをお勧めしています。

(参考:業務受注の仕組みはWEBじゃないとダメなのか?

行政書士としての実績・信頼性を最もよく理解している自分の顧客を通じて、紹介を得る仕組みが可能だったのも公益法人移行業務の特徴でした。

業務の価格帯が全く分からない新人開業者さんの参考のために補足すると、私の場合、業務単価でだいたい150万円以上、顧問料だと10万円以上頂いています。

これ高いと思います?

確かに、「会社設立1万円」みたいな業務と数字だけ比べるとケタが違いますよね。

まあ、業務が違うので単純に比較することがそもそも間違っているのですが。

私の報酬が特別に高いわけではありません。むしろ相場的には安い方だと思っています。

私よりも先に行ってる偉い先生方は私の数倍のフィーを得ていますので、一流の専門家を目指して見習いたいですよね^^

2.これからの公益法人業務について

これまでの公益法人業務には、

①特例民法法人の移行

②新設法人の公益認定

この2種類があったわけですが、行政書士の業務として今後は原則として②新設法人の公益認定だけとなります。

一般法人から新規に公益認定処分を受けた法人数は全国で289しかありません(平成26年1月「公益認定等委員会だより」参照)。

私自身は、①特例民法法人の移行だけでなく②新設法人の公益認定についても、早期に取り組んでいました。

新規に公益認定を受けた法人数が今よりももっと少ない時期から、「設立の定款認証⇒ゼロから法人の立ち上げ⇒新設法人の公益認定」の実務経験があります。

そのため、昔に比べたら新設法人の公益認定も数倍に増えたようにも思いますが、新法が施行されて5年も経過して、たったの289ですよ。

この289の中に私の顧問先も含まれているわけですが、客観的に見たら相当少ないですよね。

ということは、実務経験がしっかりある専門家も全国的に見ても少ないってことです。

私自身は①②両方やってきましたから、今後の②についても自信を持って営業できるし、取り組めます。

だから真剣に公益法人設立を目指す団体からのご依頼を頂けています。

私が感じている最近の傾向から言うと、元政治家(国会議員等)さんが一般財団法人を設立して、公益財団法人を目指すケースが増えています。

実際、私が一般財団法人を設立からお手伝いして公益財団法人になった法人の中には理事長さんが元与党の国会議員だったという団体も既にあります。

政治家現役時代に培った政策立案経験・人脈等を政界引退後は公益のために使うというのは素晴らしいことですね。

ちなみに、元与党の政治家さんだと引退後もそれなりに特定の省庁に強い影響力を持っていることが普通ですが、新公益法人制度が施行された現在は、個別の主務官庁が公益法人の認可を出す時代ではありません。

だからこそ、公益法人設立・公益認定のために行政書士に依頼が来るわけです。

昔の法制度なら、(元)政治家が顔の効く省庁に怒鳴りこんで行けば、必要な公益法人の認可なんて一発で出ますからね。

政治家さんから行政書士に依頼なんてきません(笑)。

なお、行政書士の今後の業務として上記で「原則として②…」という表現をしたのは例外もあるからです。

実は、期限内に一般法人への移行認可を受けてとりあえず解散を免れた法人が、公益目的支出計画実施中の状態から公益認定を目指すような案件も発生しています。

他には、とりあえず期限内に公益認定申請したけれど、不認定になりそうなので、正式な不認定処分が出る前に一般法人への移行認可申請に切り替える案件とか。

あとは、設立母体が同一である財団の合併の案件とか。

新人の方にはちょっと分かりにくいと思いますが、これが公益法人移行の実務の最新の状況です。

ここまで対応できて専門の行政書士といえるでしょう。

早くから新法に対応し実務経験を積むと、さらに複雑な案件も舞い込んできて、さらに経験値がUPします。

他の専門家ができない案件も、全国的にも数少ないケースでも「自分ならできます!」と依頼者に自信を持って言えます。

だからこそ、受注につながります。

この繰り返しで、他人が追いつけない状況になってきます。

以上が私が過去5年間一貫して取り組んで来たことの実例です。

新人開業者が法改正分野に取り組む際のイメージとして参考にして頂ければ幸いです。

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